0.最初に
ぼくは普段、ゲームメディアでビデオゲームについての記事を書いている。「ゲームライター」として僕のことを認識している人も多いだろうし、実際ほとんどの仕事が「ゲームライター」としての仕事だ。毎日寝ても覚めてもダラダラとゲームばかりやっており、調べることといえばゲームの情報ばかり。かつては新作映画をよく見たり、マンガを購読したりもしていたんだけど、最近はそういう習慣がなくなり、ほぼゲームに絞って消費活動をしているからだ(経済的事情が大きい)。そのため(既に「今月のゲーム 2020年11月編」を投稿しているとおり)自然とALTSLUMでも(僕個人としては)ビデオゲームを取り扱うことが多くなるだろうと思う。
おそらくALTSLUMの読者には「今までほとんどビデオゲームに触れてこなかった」という人も多いだろう。あんまり興味がないという人もいるかもしれない。人それぞれ、皆自分の興味の中で消費をしている。ここで「すべての人がビデオゲームをやるべきだ!」と、声高に宣言するつもりもない。ゲームを遊ぶためには初期費用がかかり、時間がかかり、知識が必要だ。その上ゲームは(単純に比較することは不可能だがおそらく)他の娯楽芸術よりも好き嫌いがはっきり分かれるし「自分に合わなかった」ときの失望感や徒労感もかなり大きい(個人の感想ですが)。人によっては「ゲームという趣味をあたらしく始めるコスト」は「ゲームを遊ぶことによって得られる快楽や知見」よりも重い可能性が充分にある。
なので、この記事は現時点で「ちょっとはビデオゲームに興味がある人」向けだ。ちょっとはビデオゲームに興味があるが、何から手を付けたらいいかわからないという人のためにゲームを遊ぶためのコストをちょっと下げる手伝いをするというぐらいの感じ。僕が普段から口に出す、「Nintendo Switch」とか「Steam」とか、そういう言葉の意味があんまりわかっていない人に説明をするための記事だ。おそらくかなり初歩的な話になるから、既にSteamでゲームを購入する習慣がある人とかには向かない。本当に0の人に向けたものです。
1.初期費用について
ご家庭でビデオゲームを遊ぶのには機械が必要になる。「必要になる」っていうのは「買わなくちゃいけない」ということだ。つまり、お金がかかる。明日食ってくことにも精一杯な人はきっと多いだろうから、この時点で「ウッ」と身構えてしまう方も相当量おられるに違いない。またインターネット回線との契約も必要になる。「カネがかかる」娯楽はゲームだけではないけどね。
今現在ビデオゲームを遊ぶにあたって必要となる「機械」は大まかに三種類ある。「PC」「スマートフォン」そして「ゲーム機(コンソール)」だ。「ゲーム機」には統一的な性能があるため、たとえば「PlayStation 4用」と書かれたゲームであれば「PlayStation 4」という機械があれば確実に遊べる。「PC」や「スマートフォン」には年式や価格によってさまざまな性能があり、性能によっては遊べないゲームもあったりする。ゲームを遊ぶため専用にチューンされ発売されているPCやスマホもあり、そういうものは「ゲーミングPC」や「ゲーミングスマートフォン」と呼ばれている。「ゲーミング」と名のつく製品は基本的に高価なので、一切ゲームを遊んだことがない人がいきなり買うようなものではない。
もし趣味に費やせる充分な資金があり、それなりにゲームに興味があるなら、現在であれば「Nintendo Switch」の購入をまずはおすすめしたい。「Nintendo Switch」は任天堂から発売されている最新のゲーム機であり、機能制限/廉価版の「Nintendo Switch Lite」であれば2万円で入手できる。ゲーム用にスマホやPCを新調するよりはかなり安いはずだ。
https://store-jp.nintendo.com/hardware-accessory/
2万円を捻出するのが難しいという方は、現在所持しているスマートフォンやPCでビデオゲームに入門することになる。ALTSLUMを読めるということはスマホかPCどちらかを所持しているということなので、この場合は初期費用はほぼかからない。
2.ストアでDL版のゲームソフトを購入する
スマホ、PC、ゲーム機どの場合においても、ゲームを購入するときにはストアというものを経る必要がある。ゲーム機の場合はゲームショップに実際に足を運んで物理的なソフトウェアを入手することもできるが、PC、スマホの場合はほぼダウンロードでゲームソフトを購入することになるだろう。その場合必要になるのがクレジットカードだ。
クレジットカードを用意することが難しい場合(僕もそうだ)、デビットカードの利用かプリペイドサービスを利用することになると思う。代表的なサービスの例はこちら。
デビットカード
・ソニー銀行
(僕もメインの口座として利用しているし、不便したことはあまりない)
・ジャパンネット銀行
・楽天銀行
ほか、様々な銀行がデビットカードのサービスを提供している。ほとんどの場合無審査なので長期的にビデオゲームを購入していく予定のある人はデビットカードの利用をオススメする。
プリペイドカード
・Kyash
・Vプリカ
・LINE Payカード
これにも色々種類がある。使いすぎるのが不安な方はこちらのほうが良い場合もある。またPaypalという決済サービスを利用するとインターネット上での信用情報の取り扱いがたやすくなるのでそちらのサイトもご参照のこと。めんどくさいなら上記Vプリカのサイトで説明を読んで手続きを進めるのが一番早いかと思う。
クレジットカード(的なもの)の用意ができたらいよいよストアを利用することになる。Switchの場合はホーム画面下部にあるニンテンドーeショップというのがそれだ。スマホがiPhoneならApp Store、AndroidならGoogle Play(どちらでもない場合は専用のストア)。PCには色々なストアがあるがここではSteamをおすすめさせていただく。Steamにはゲーム専用のPCでなければ動かないような「重い」ゲームから、比較的低スペックでも動かせる「軽い」ゲームまで揃っている。自分のPCで特定のゲームが動かせるかどうかは(Windowsであれば)Can You RUN Itで調べることができる。Macでもゲームはできるがスペックを調べたり現在のOSバージョンで遊べるかを調べるのは少々手間で、Macはビデオゲームには現状あまり向いていないと言える。
また、まだまだ数は少ないがゲームをストリーミングで遊べるサービスというものもあるので、「爆速インターネットはあるがPCは低スペック」という場合は検討してみるといいだろう。
https://cloudgaming.mb.softbank.jp/
3.これからビデオゲームを遊ぶ人がまず遊んでみるべきゲーム
と、題すると大仰だが、まあ要は「ALTSLUMの読者が、これからゲームをやるならこういう作品がいいんじゃないか」と僕が思うものだ。「遊びやすく、パッと見でわかりやすくすごい」ということを意識して選んでいる。また一本の例外を除いてSwitchかスマホで遊べるものから中心的にセレクトしている(ハイスペックなPCゲームは含まれない)。「ゲームをまったく遊んだことがない人にとって難解過ぎないように」という個人的な配慮も存在するが、大きなお世話かもしれない。
GOROGOA
Switch/PC(Win/Mac)/iOS/Android
四枚の絵を移動し、位置を変え、内部を移動することで内部の物語が進んでいくというゲーム。パズル的要素が強く頭を使う場面も多い。ただ非常に美しいゲームなのでまずは遊んでみてほしい。
返校 Detention
Switch/PC(Win/Mac)/iOS/Android
1960年代の台湾を舞台にしたホラーゲーム。歴史的な背景が関わってくるが事前知識というよりはゲームを遊んだあとに調べるなどでもよいとおもう。ショッキングな描写があるため注意だが、「ホラー」が苦手でない方はぜひ。
OneShot
PC(Win/Mac)
最後にPCのみだが軽量でMac版もあり、非常に独特な体験のできる本作「OneShot」を紹介させていただきたい。とにかく不思議なゲームで、何を言ってもネタバレになるタイプの作品だが万人にオススメできると思う。
4.ビデオゲームをやっていってほしい
読書や映画鑑賞、音楽鑑賞に比べてビデオゲームというのは少々めんどくさい趣味だ。何度も言ってるように障壁もなかなか高いとおもう。結果的にビデオゲームを取り巻く言説というものはゲームオタクのためのゲームオタクによるものになっているという側面があり、例えばアカデミックな領域からゲーム批評のようなアプローチがあると界隈からは激烈なアレルギー反応があったりもする。だからこそ、ぼくはより色んな人がゲームを遊んで、より色々な感想が出たらいいなと思っている。これは「意義」とか立派なことじゃなくて、「ぼくがこれからもっと面白いゲームを遊ぶ」ために必要なことだからだ。ALTSLUMでは折に触れて、面白かったビデオゲームやオススメのビデオゲーム、新作ゲームなんかを紹介していこうと思う。このようにビデオゲーム初心者に向けての記事も用意しようと考えているので、チェックしていってほしい。